多くのブランドも利用するB2CのCRMを提供するZaiusとは?

顧客の情報を収集・分析し、セグメンテーションとパーソナライズされたキャンペーンの展開まで、すべてを一括して行うCRMのZaius。
B2C分野で世界一と呼ばれるその技術の秘密は、顧客のライフサイクル把握にあった。

顧客を知ること―これは昨今のマーケティング業界の黄金律とも言えるだろう。
カスタマーの年齢層、性別、購入履歴を把握することは、もはや当たり前。より効果的なターゲティングキャンペーンを展開するには、もう一歩踏み込んだ包括的で詳細なデータが欠かせない。

それを可能にするのがZaiusだ。

Zaiusは、AIを活用した顧客データ分析・CRM構築を行うスタートアップ企業だ。
ZaiusのCDPを利用することでマルチチャネルの顧客情報を総合的に把握し、そこから効果的なセグメンテーション、そしてキャンペーンの展開まで一括して行うことができる。

CRM関連企業が乱立する中、2012年設立のZaiusは、すでにB2C分野において最も力のある企業になっている。その秘密は何なのか。Zaiusが誇る技術を詳しく見ていこう。

Zaiusってどんな会社?

Zaius社は2012年にボストンで設立。
自らを「B2Cマーケターが求めるスケールとスピード感を持つ唯一のCRM」と位置づけ、Tea ForteやBurt’s Bees Baby、Scott’sといったブランドを顧客として抱えている。
これまでの実績では、平均でリピート購入3倍増、LTV(顧客生涯価値)20%増、平均オーダー額150%増を実現させている。

「収益増に直結するより価値のあるユーザー情報を集積する」「同一プラットフォーム上でデータ収集から分析、キャンペーン展開まで一括して行えるようにする」「セグメンテーションとパーソナライズキャンペーンの展開を自動化する」を主なゴールとして掲げるZaius。
GoogleやFacebook、Amazonなどの大手ITデータ企業とも提携し、よりダイナミックなCRMを作り上げている。

Zaiusが提供するもの

Zaiusの技術は非常に多岐にわたるが、大きく分けると以下の5つが挙げられる。

パーソナライゼーション

様々なチャネルやデバイスから、特定ユーザーだけでなく匿名ユーザーの行動データを集め、一括して管理。
このデータをもとに、個々人に最適なメッセージを最適なタイミングで、最適なメディアを通じて送ることができる。

セグメンテーション

ZaiusのSegmentation Builder 2.0は、似たような特徴を持つ顧客を自動でグループ化するため、平均注文額や購入までにかかった時間、Facebook広告をクリックしてページを訪問した人別など、非常に細分化されたセグメンテーションが可能である。

ライフサイクル・オートメーション

カスタマーのライフサイクル別(見込み顧客、初回購入者、リピータ―、コア顧客、離脱者など)のセグメンテーションは、Zaiusの強みだ。
ブランドはこれらのデータを一目で把握することができるため、難解なソフトウェアを独自に開発する必要もない。

マーケティング・サポート

ZaiusのAI型マーケティングアシスタントZamは、上記のデータを活用し、最も効果的なマーケティングを展開するためのアドバイスを行う。
例えば、今最もターゲティングを強化すべき顧客層を提案したり、商品の売れ行きと可視性を比較したり、タスクの自動化など、マーケターの右腕となることを目指す。

アトリビューション分析

ZaiusのB2C専門アトリビューション分析技術は”any-to-any”と呼ばれ、カテゴリやチャネルを超えて柔軟に利用することが可能だ。
例えば「リピート購入に最もつながりやすい初回購入商品は?」といった情報が得られれば、単にアクティビティを増加させるだけでなく、実際に収益の増加につながるキャンペーンにフォーカスできる。

Zaiusの活用事例

アメリカのラグジュアリー紅茶ブランドTea Forteは、2017年からZaiusを活用したマーケティングを行っている。
Zaiusを活用するまでは、相互につながりのない複数のCRMや、eメールシステムを利用していたが、eメールシステムを利用していた5年間では、一切売り上げが伸びていない。

Zaiusを利用することによってTea Forteは、自社サイトだけでなく売り上げの大部分を占めるAmazonの購入者データも一括管理できるようになった。
その結果、キャンペーンが与えた影響を具体的に把握できるようになり、リピーターにフォーカスすることが最も効果的であることが明らかになった。

さらに、Zaiusは第三者としてAmazonとTea Forteのパートナーシップ形成にも貢献。
Tea ForteはAmazonにおいても自社商品の画像やコンテンツ、価格などを決定する権利を持てるようになり、ブランドイメージを損なうことなくセールス拡大に成功した。

Zaius導入から1年足らずでTea ForteはROIを20倍近くに増大させることに成功。
LTVは25%増、eメールからのセールスは2倍近くにまで拡大した。

これからは、Zaiusのマーケティング・アシスタントが提案する「オフライン戦略(パーソナライズされたポストカードなど)」に力を入れていく予定だ。

次の購入はいつ?Time-to-Purchaseモデルで予測

昨今、カスタマーの基本情報を集めることはもはや難しいことではない。

しかし、単にサイトのアクセス数や広告のクリック数を増やすのではなく、実際にLTVを高め売り上げを伸ばすためには、一歩踏み込んだ分析が必要だ。

そこでZaiusは、ユーザーの行動データを分析し、未来のアクション(特に次の購入時期)を予測するAIを開発した。

このTime-to-Purchaseモデルは、

・ユーザーが示す購入意思のサイン(ブログ記事を読む、ニュースレターに登録する、広告をクリックする、商品ページを見る、カートに商品を追加する、など)
・顧客とブランドの関係の経緯(SNS→ブログ記事→商品ページ?それともGoogle検索→商品ページ→ニュースレター登録?など)
・行動のタイミング(例えば、週に3回同じメールを見返している人は購入確率が高い)
・商品の特性(マットレスを購入したばかりの人と、シャツを購入したばかりの人を比べると、後者の方が次回購入時期は早い)

の4つの観点からのデータを利用して、ユーザーが商品を購入する確率の高さ(非常に高い、高い、普通、低い、非常に低い)と、次の購入までの日数を予測する。
このアルゴリズムは非常に複雑なもので、AIなしではこのような予測は不可能だ。この予測データに基づいて、パーソナライズされたより効果的なキャンペーンを展開すれば、売れ行きの拡大が期待できる。

統計からインサイトへ、インサイトからアクションへ

Zaiusがユニークなのは、データ収集、分析と統計、そしてキャンペーンの展開まで、すべてを連続して同一プラットフォーム上で行えることだ。
そのため、データの管理と利用がより簡単・スピーディーに行える。
また、「データはあるけど、どう活用すればいいかわからない」といった悩みに答えることができるのだ。

例えば上記のTime-to-Purchaseモデルは、単に分析結果を表示するだけでなく、購入確率が非常に高いカスタマーにはクーポンを送ったり、逆に低いカスタマーにはブランドに対するイメージを高めるための記事を送ったりといったキャンペーンを自動で展開。
これらのキャンペーンの効果はZaiusのA/Bテストで証明されているため、マーケティング担当者は頭を悩ませる必要もなく、労力とコストを大幅に削減できる。

ライフサイクル把握の重要性

数あるカスタマーデータ分析ソフトウェアの中で、顧客のライフサイクルに重みをおいているものはZaius以外にない。

Zaiusのアルゴリズムは顧客を

・購入なし
・初回購入者
・リピーター
・コア顧客(長期・忠実な顧客)

の4つに分類。

また、それぞれのカテゴリに対し、

・離脱の危機
・ブランドを意識している
・関心を示している
・購入の意図がある

の4つのサブカテゴリを設置し、計16種類に細分化する。

こうすることで、それぞれの顧客が持つユニークなニーズを把握することができ、個々人にとって今最も強く訴えかける広告、メッセージ、商品案内、クーポンなどを送ることができる。

ライフサイクル別のターゲティングは数年前から非常に注目されている分野だが、膨大な量のデータと複雑なデータ分析が必要になることから、実用化している企業はまだ多くない。

ライフサイクルを基にしたZaiusのマーケティング戦略を取り入れたアメリカのアウトドアブランドStioは、ROIを118倍にまで拡大することに成功している。

まとめ

B2B向けのCRMがすでに確立されたテクノロジー分野であるのに対し、Zaiusが開拓するのは顧客を中心に添えたB2CのためのCRMだ。

昨今のマーケティングにおいて、消費者を把握し、個々人のニーズに合わせた戦略を展開していくことは欠かせない。

その過程をより効果的に、より容易にするのがZaiusの技術である。

データの収集からパーソナライズされたキャンペーンの展開まで、すべて一括して行えるZaiusは、マーケターの労力とコストを大幅に削減する未来のプラットフォームだ。
顧客のライフサイクルに焦点を当て、顧客生涯価値を高めることを目標としたZaiusは、持続可能なマーケティングの仕組みを提案する。

ZaiusのAIアシスタントZamが、マーケッターの右腕として活躍する未来はそう遠くない。

<参考>