AI主導の採用プラットフォーム「AllyO」

HR Tech「AllyO」社

AIやビッグデータの解析技術が発展し、近年ではHR領域でもそれらのテクノロジーが注目を集めている。2018年に9月にラスベガスで開催されたHR Technology Conference & Expoに450社以上の企業が参加するなど、HRテクノロジーの潮流がグローバル市場に押し寄せているのは明白だ。企業が有能な人材を求めて競争が激化するにつれ、採用はかつてないほど複雑になっている。今後、採用競争を勝ち抜いていくためには、正確性、効率性、および公平性を持って候補者の選考を進めることが重要だといえる。

企業の採用における問題(HRテクノロジー浸透の背景)

HRテクノロジーが近年注目を浴びている背景には、労働人口の減少により、従来の属人的なマンパワーに依存した採用戦略は通用しなくなっていることが考えられる。

実際に採用現場では、募集要件に満たない応募者の対応にリソースを費やすことでよりマッチする候補者を逃してしまったり、属人的な評価基準によって採用後のミスマッチが発生してしまっていることが問題となっている。マンパワーに頼った採用チームの管理業務の過剰な負荷は採用コストを圧迫し、採用機会の損失を起こしてしまう。適格な人材を獲得する上で大きな障害となっているのだ。

AIを活用した採用自動化ソリューション「AllyO」の登場

AllyO社は、企業と候補者のミスマッチを防ぎ、業務負担を減らすために、採用プロセスを自動化するHRプラットフォーム「AllyO」を開発した。シリコンバレーで創業し、2019年6月にはシリーズBで45百万ドルの資金調達を行っている。

AllyOは多言語対応型のAIチャットボットが採用候補者のリサーチや対応を行うことでマッチングする求職者をスピーディに特定し、担当マネージャーに実用的なインサイトを提供してくれる。
また、既存のリクルートページ、求人サイト、テキストアプリ、LinkedIn、Monster、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアネットワークと連携し、複数の採用チャネルから候補者を探し、対応することができる。

創業者のSahni氏によると、AllyOはこの1年だけで4.5倍に成長したと語り、2020年にはこのサービスが15%ものアメリカ人に使用されると予想している。

AllyOの概要

価格 : 非公開/見積もり
提供形態 : クラウド型SaaS
対応機種 : モバイル対応

機能

エンゲージメント機能

既存の人材プールに対して、最適なタイミングでキャンペーンを打つナーチャリング機能により人材獲得コストを削減できる。求職者にとっても、自身の興味に基づいて採用活動を行うことができる。また、過去の候補者データベースを最新の状態に更新することで、正確性の低い情報を排除することができる。

キャプチャー機能

Web、テキスト、電子メール、SNSなど複数のチャネルにおいて会話型のジョブマッチングAIを24時間稼働させ、インバウンド及びアウトバウンドによる人材獲得率を向上させる。一般的な採用活動では、複雑で長い応募フォームや検索キーワードとの不整合によって応募者の離脱が起こりがちだが、AllyOでは、AIが応募者の興味や状態に基づいて最適な選択肢を提供するので、効率的な採用を行うことができる。

審査・評価機能

チャットボットによって基本的なスクリーニング活動を自動化し、パイプライン内の候補者の質を高められる機能だ。スクリーニング基準は、業績の高い従業員のプロフィールに基づいて決定されるので、要件に満たない候補者を効果的に弾く。また候補者の興味レベルや採用の可能性を考慮して面接官を配置することができるので、採用担当者のリソースを節約することができる。

スケジュールの自動化機能

カレンダーアプリと統合し、候補者との面接日程調整を自動化する。1対1、順次など、さまざまなタイプの面接で、アサイン可能な面接官を配置することができる。面接担当者が自分のカレンダーからスケジュール変更をネイティブで管理できるようにすることで、作業負荷を軽減。応募者には採用フローについてガイダンスすることで、候補者の離脱を防ぐことができる。

新人のチェックイン機能

チャットを通じて新入社員に定期的なチェックインをさせる機能だ。オンボーディングやオリエンテーション活動について新しい情報やリマインダーを通知するだけでなく、従業員満足度を可視化することで、結果としてオンボーディングの質を向上させることができる。

リファラル採用機能

従業員紹介プログラムを自動化し、リファラル採用を強化する。従業員にコンタクトをとり、リファラル候補者の情報を自動収集し、登録することができる。テキストやEメールを通じてパーソナライズされたメモから、紹介された採用候補者に即座にアプローチをかけることができる。リファラル候補者の採用進捗状況を毎週自動更新し常に最新の状態に保つ。

まとめ

採用担当者が対話型のチャットと複数チャネルエンゲージメントを使用し、ワークフローを自動化して採用担当者の業務負担を減らすだけでなく、費用対効果の高い方法で最適な人材を獲得・管理することができる。採用業務は感覚に頼るところも多いが、デジタル化できる部分においてはテクノロジーを有効活用していく必要がある。