AIによる自動追跡で物忘れを防ぐMutagとは?

informu社

ビジネスパーソンにとって”物忘れ”は最大の悩みの一つとも言えるだろう。スーツケース、鞄、パソコン、財布、携帯、重要な書類に至るまで、会社や個人の機密情報が含まれているものも少なくない。特に懸念すべきは、カフェや電車の置棚への置き忘れ、はたまた盗難などによる紛失で情報漏洩してしまうと利害関係者からの信頼を大きく損ねる事態になりかねない。損害賠償に発展し会社の経営自体を脅かす事態にもなるだろう。しかし個人の注意力に頼るというような属人的な方法では、根本の解決にはならず、事態が発生してからでは後の祭りとなってしまう。

解決の鍵はAIによる自動追跡

Lang Meiが設立した同社は、所有物に取り付けることでトラッキングを可能にする充電式小型タグデバイスを開発している。この小型の電子タグはスマートデバイスと連携しており、持ち物を置き忘れると通知が飛ぶ仕組みだ。位置設定でアラート圏内を設定できるので誤通知を防ぐことも可能となっている。

Mutagは二つのモジュールで構成されており、一つは三ヶ月はフル稼働可能な充電式バッテリーモジュールと、持ち物が置き忘れたと判断された場合にスマートデバイスに通知を飛ばしてくれるモジュールだ。

使用イメージ

使い方

1.持ち物に取り付ける

財布やカバン、パソコンなどの貴重品に貼り付けます。

2.専用のアプリを起動

informu専用アプリに、貼り付けたMutagを登録する。特定の日付に持ち物リストを通知できるように、カレンダーと連携させることも可能となっている。

3.持ち物を置き忘れるとアラート

設定した位置圏内を離れるとアプリが置き忘れてきた持ち物をすぐに知らせてくれる。特徴は電話でアプリを閉じていてもそれが機能するということだ。 iBeaconテクノロジを利用することで、アプリの状態に関係なく通知を送信できるようになっており、バッテリー寿命を節約するのに役立っている。

アラートが知らせてくれる

4.充電

USBコネクタと同サイズの専用充電器で充電を行うことが可能となっている。

創業のきっかけ

創業者のLang Meiがパリへの旅行中、コーヒーショップで電話に気を取られてバッグとパソコンを紛失したことがきっかけだ。彼は自分の持ち物を取り戻そうと必死に探したが、結局見つかることはなかった。Langはこの原体験から、持ち物の紛失を防ぐための解決策を追求し続け、そもそも手放さないことが重要だと認識した。市場にはBluetoothトラッカーとGPSトラッカーは存在するものの、損失防止装置はないことに気づき、コロラド大学にて共同創設者のRishabh Berlisと出会い、Mutagの最初のプロトタイプ制作に取り組んだ。

ファンディングの成功

InformuはMutagの開発にあたり、様々なファンディングプラットフォームから大きな関心と資金を得ることに成功。コロラド大学のアクセラレータプログラムに通過し、大学全体のクラウドファンディングを通じて資金を調達し、さらにKickstarterキャンペーンでは最初の12時間で10,000ドルを集めた。

最終的に彼らは27日間で10万ドルを調達し、損失防止装置がいかに需要があるかを証明することに成功した。事実としてMutagは、Kickstarterの紹介するハードウェア製品のうち、過去最高の5%の支持を獲得していた。現在はプロトタイプ版のMutagをリターンに、計1360人の支援者から調達した106,730ドルの資金を元に、プロトタイプの制作に取り組んでいる。

最新の動向(2019/6/末時点)

Kick starterのアップデート情報によると、Mutag、充電器、ホルダーの生産進捗は好調で、わずか3gしかない市場最小の紛失防止タグの完成は間近だと述べられている。(ファンディング支援者へのリターンは2019年8月にお届け予定)

まとめ

未だ正式版は開発中ではあるものの、informu社のMutagが普及すれば、人々は持ち物に小さな電子タグを取り付けるだけで、紛失を恐れずにストレスフリーに生活を行うことができるかもしれない。ビジネスマンにとっても会社の機密情報や個人情報漏洩の元となる持ち物の紛失を防げそうだ。