イスラエルAI関連スタートアップニュース3

Shellがイスラエルのスタートアップに初めて投資【Globes Israel’s Business Area】

イスラエルのハイファに拠点を置くスタートアップで、AIを搭載した車両検査技術を開発するRavin.aiは、Pico Venture PartnersShell Ventures 、個人投資家のAdam Draizin氏たちから、2019年5月に400万ドル(約4億3000万円)の資金調達をシード投資期間中に達成した。Shell Venturesにとってイスラエルのスタートアップに投資するのは、今回で初めてのことである。ハイファとロンドンにオフィスを構えるRavin.aiのテクノロジーは、スマートフォンやCCTVカメラを使って自律的に車両が受けた傷やへこみなどの損害を検知するために使用される。同社は、車両レンタル会社を最初のターゲットとして技術開発を行なっていたが、商業用の車両や中古車市場に向けても事業拡大を目指している。

Ravin.ai のCEOである Eliron Ekstein氏は、「Ravin,aiのミッションは車両買い替えやレンタル車を借りる時の手続きの信頼や透明性を実現する。私たちの技術を使用している企業や消費者は、Ravin,aiが開発した技術によって得られる利益を感じており、将来的に多くのパートナーシップを結べることを期待している。」と述べている。

Ravin,aiの技術は、CCTVカメラを使って車両の損傷を検知した後に、深層学習技術を使って車両全体を認識し、損傷の状況をラベリング。最終的にはそれらの情報をウェブサイト・アプリケーションやAPIを介して報告され、修理や仮コストや今後の提案に使用される。

Ravin,aiはアメリカやヨーロッパなどに拠点を置く、Avis’ Heathrow Airport operationsなどの企業とパートナーとして事業を展開しているが、北アメリカやアジア、さらに多くのヨーロッパの国々に対して事業を展開するために、技術開発を進めていくと公表している。

IoTの不具合を解決するスタートアップ企業Veegoが500万ドルを獲得【nocamels】

イスラエルのスタートアップ企業で、AIを基盤としてIoT製品のトラブル解消をサポートするサービスを展開するVeegoがシード期間において500万ドル(約5億4000万円)の資金調達を達成した。Robert Bosch Venture Capitalthe venture company of the Bosch GroupState of Mind VenturesNorth First Venturesのベンチャーキャピタルが投資を行った。

ラマト・ガンに拠点を置く同社は、IoT製品の問題やシステム障害を自動検知し、その原因を調査・修理する技術を開発しており、ユーザーがスマート家電の不具合に気づく前に解決するのに加え、その不具合が再発するのを防止するのに役立つ事業を展開している。VeegoのAI技術はIoTに加えて、スマート・ハブ、ルーターに搭載されている。

インターネット会社向けのサービスの特徴として、IoT製品に対する24時間の自律的な監視を実現することによって、修理依頼などの電話数を減らすことに繋がるという。Veegoが自律的にその製品の不具合を解決できない場合は、その問題をユーザー自身が解決できるように、簡易的な解決方法の流れを作成し、カスタマー満足度の向上へと繋げることができる。IoT機器向けのサービスとしては、ユーザーが製品をどんな使用をしているかや、どの製品に不具合が多いかなどの情報を、IoT製品開発会社はVeegoから知ることができる。

Veegoは、2019年夏にインターネット会社やスマート・ハブ業者と連携して革新的なシステムを展開しようと計画しているのに加えて、スマート機器に搭載される新技術の開発にも取り組んでいる。

AI開発に取り組むAllen Instituteがイスラエルに支社を設立【CTECH by CALCALIST】

イスラエルに拠点を構え、AIの開発に取り組むAllen Instituteが、840万ドル(約9億1000万円)の投資を行い、国内に新しい支社の設立を計画している。2014年、マイクロソフトの共同創設者である Paul Allen氏などの投資によって設立された同社は、AI分野に関する研究開発において大きなインパクトを与えることを目標に掲げ、事業に取り組んでいる。今回、支社設立が実現すれば、アメリカ以外の国で初めて支社設立になる。

シアトルの機関はOren Etzioni氏 によって運営されており、AI分野とコンピューターサイエンスの専門家で100人以上の研究者とエンジニアで構成されたチームを率いている。Bar-Ilan大学、情報科学の教授であるYoav Goldberg氏がAllen Instituteのイスラエル支社のチームを率いることになるという。Goldberg氏によれば、イスラエル支社は自然言語処理に焦点を置いて研究開発を進める方針で、すでに自然言語処理分野に知見を持つ学者やエンジニアたちを集めている。

2019年5月現在、シアトルの機関においては6つのプロジェクトが展開されており、神経言語プログラムの研究機械学習と神経言語プログラムの混合プロジェクトに加え、同社のエンジニアと外部の研究者を繋げ、AIを使いながら世の中を良くしていくためのアイデアを共有するプロジェクトも行われている。

HPが次世代のコンピューターにサイバーセキュリティソフトを導入【The Times of Israel】

アメリカのコンピューターやプリンタを製造するHP Inc.がイスラエルのサイバーセキュリティ分野の製品開発を行うDeep Instinct が開発したAIを基盤としたソフトウェアをHP社のコンピューターに導入しようとしている。このソフトウェアを導入することで、同社の製品をサイバー攻撃から守る取り組みを進めている。今までに何千万台ものコンピューターを製造し、世界に売り出しているHPコンピューターは、Deep Instinctのソフトウェアによって保護されるだろうと同社は2019年4月に公表している。

今回の契約に関する金額については一切の報道はされていないが、Calcalistによれば4年以上で1億5000万ドル(約160億円)が支払われるのではないかと予想されている。

HPはテル・アビブに拠点を置く、深層学習を使ってサイバー攻撃の脅威やより高度なサイバー攻撃を予測する技術を開発するスタートアップとHP Sure Sense softwareを開発する事業を進めている。

HP Sure Sense SoftwareはAIの分野、特に深層学習のアルゴリズムとニューラルネットワークの技術を使用して、本能的にマルウェアを認識し、過去に今まで見られたことのないサイバー攻撃からHPコンピューターを守ることを実現するソフトウェアである。

参考記事:HP Press release, HP Transforms PC Security with AI-driven HP Secure Sense

原文:HP to install Israeli cybersecurity software in next-generation computers

Intelがハイファのチームによって開発されたプロセッサーを導入【The Times of Israel】

アメリカのテクノロジー大手企業のIntel Corp.が、AIを使った新世代プロセッサーを搭載したコンピューターを世界で初めて発売した。内蔵するプロセッサーは、イスラエルのハイファにあるIntel Corp.の拠点で活動するチームによって開発された。

10世代目にあたるGen Intel Coreプロセッサーは、Ice Lakeという名称で呼ばれ、コンピューターやノートパソコンへの搭載を目標としており、2019年末には全てのコンピューターに搭載される予定だ。このプロセッサーは、Intel Corp.が開発した10ナノメートル・プロセステクノロジーを基盤にして開発されており、Sunny CoveコアとGen11グラフィックスを開発することによって、既存のプロセッサーの構造を一新した。それらのテクノロジーはコンピューター自身が学び、動作することを可能にするため、パソコンやノートパソコンが学習するスピードを加速化させ、それらのデバイスを使うユーザーの行動に適応することを実現する。今回、開発されたプロセッサーは、Intel Corp.が過去に開発したプロセッサーと比べて性能が格段に向上しており、具体的には、AIパフォーマンスの加速化や、2倍のグラフィックパフォーマンス向上、ワイヤレス環境下での作業速度においては、およそ3倍の加速化を実現した。それらのコンピューターはサンダーボルト3技術を搭載しており、コンピューターのマザーボードの性能を向上させ、ハードウェアそのもののコンパクト化とバッテリー持続時間の向上を可能にする。加えて、Wi-Fi 6技術を採用しており、コンピューターの情報処理速度を上げるだけでなく、コストを低く抑えることができるのに加えて、消費電力も抑えることができる。

Hunters.AI が540万ドルの資金調達を達成【nocamels】

イスラエルのサイバーセキュリティ技術を開発するスタートアップHunters.AI が、540万ドル(約5億8000万円)の資金調達を達成し、シード期間においての投資を終えた。それまでは明確な動きが見られなかったが、今回2019年5月のシード投資終了のニュースで世間に姿を現した。

同社は、YL VenturesBlumberg Capital のベンチャーキャピタルから資金を獲得した。

2018年に設立されたHunters.AIは、企業がサイバー攻撃への対応や、サイバー攻撃の脅威に対抗するための技術開発を行っており、あらゆるサイバー攻撃を検知、特定した上で企業のクラウドや企業のネットワーク環境を攻撃するサイバー攻撃に対する対策や改善方法を提供する。

同社はサイバー攻撃に対応するためにユニークな技術を開発しており、AIと既存のセキュリティーデータを用いて、実際にサイバー攻撃を検知する前段階から作動する検知システムを開発した。サイバー攻撃に対する自律的な解決方法は、解決しきれなかった細かいウイルスなどを見つけ出すことを可能にすると同社は述べている。

会社名にもハンターと言う言葉が使われているように、イスラエル国内でもトップクラスのエンジニアが開発した、AIを基盤とするサイバー攻撃を検知する自律的なプラットフォームで、ユーザーが常時自分のデバイスを守ることができるだけでなく、デバイス上のユーザーの行動分析を直接行うので、コンピューターのデータを複製することなく、デバイスを保護することができる。