イスラエル発の配車サービス、Gettが15億の評価価値を獲得
Gett— イスラエル発の配車サービスアプリを運営するスタートアップがエクイティとデッドによる資金調達で2億ドル(約200億円)を獲得したとTech Crunchが報道した。
この資金調達により、Gettは15億ドル(約1600億円)の価値を誇る会社として評価を得ることになる。Gettの設立者でCEOであるDave Waiser氏は、2020年の四半期の最初にIPO(新規上場株式)を目指しているが、それまでにおける最後の資金調達になるだろうとTech Crunchに発表した。IPOが行われるのはイスラエルかロンドンになるだろうとWaiser氏は言っている。
Gettは、現在までに7億9000万ドル(約860億)の資金調達を達成し、フォルクスワーゲンなどの投資家から資金を得ている。
同社は、ロシア、イスラエル、ニューヨーク、イギリスの4つの国でサービスを展開しており、主にビジネス市場においてはUberやLyftなどの強豪会社と対立している。
イスラエルでは、イスラエル放送会社であるKanとの契約が結ばれており、イスラエルで行われるthe Eurovision Song Contestの開催時に41各国から訪れる歌手の移動手段として使用される。
Gettタクシーは、the Eurovision Song Contestのロゴと共にブランド化され、Gettアプリケーションはそのコンサートに訪れる多くの訪問客をもてなすためにデザインされる。
Mobileye、レーザーセンサーとAIで自動運転の可能性を広げる動きに
Mobileye —イスラエルに拠点を置く、自動運転や先端の補助運転システム開発を行うこの会社は、レーザーセンサー(lidar)部門を設立することで事業の拡大を進めている。
この事業拡大は、Mobileyeの親会社である、Intel Corpが数十百万でアメリカのスタートアップであるEonite Perceptionを昨年の11月に買収したことに続いてのことだ。
Eonite Perceptionはレーザーセンサー(LIDAR)や深度カメラを使用した3Dマッピング、追跡、および識別用のソフトウェアを開発しました。Eonite Perceptionは、自動運転の実現可能性を証明する分野に移る前に、VR(仮想現実)や建物の内外でのマッピングなど、様々なアプリ開発を始まめました。Crunchbaseによると2016年に設立されたEonite Perceptionは、シード融資で530万ドル(1.8億円)を調達している。
この買収の後に、Eonite PerceptionはMobileyeによって設立されたLIDAR AIという部門と統合された。この部門は、サンフランシスコを拠点としており、Eonite Perceptionの従業員で構成されていると言われています。
過去に、Mobileyeは、自社製のカメラと処理技術が、自動運転技術に利用可能なすべてのセンサー技術の中で最も包括的、効率的、そして経済的に見ても適用が簡単であると常に主張してきましたが、現在、フォルクスワーゲンとの共同で、イスラエルで行われているロボットタクシーを開発するプロジェクトなどをはじめとした,完全に人の手から自立した自動走行車の開発プロジェクトへの参入を受けて、世の中へのアプローチを変えてきています。
その理由の1つとして、フォルクスワーゲンとの共同プロジェクトでは、低い視界や激しい雨など、センサーで完治することが難しい状況においての、自動車のセンサーの精度向上や補助を可能にする、冗長性を生み出すセンサー技術の開発を必要としているからである。
Eonite Perceptionは、過去2年においてMobileye(または、Intelの自動走行車部門)によって買収、もしくは投資された3番目のスタートアップで、他の2社はまだ報告されていない。
顧客のアクションをAIが分析。salesforce.comがサービスのさらなる向上を目指してスタートアップを買収
salesforce.com—米国のクラウドを基盤とするソフトウェア会社salesforce.comは、イスラエルのスタートアップでAIを用いたソフトウェア開発を行う、Bonobo AIを買収した。Bonobo AIが開発したAIは、企業が顧客から受けたコールサービスやテキスト、その他のあらゆるコミュニケーションに対する情報を分析するのに特化したAIだ。
顧客と企業との間のコミュニケーションを分析することによって、営業部門のチームはその時々の傾向を知ることができ、顧客に対するサービスを向上させることにつなげることができます。
今回の買収に関わった2社は、両者とも買収金額についての言及を一切行わなかったが、この問題に詳しい人々よると、salesforce.comはイスラエルのスタートアップに対して、4000万ドル〜5000万ドル(40億〜50億円)を支払うだろうと考えられている。
「Bonobo.aiがsalesforce.comに獲得されたことは、私たちのビジョンである、会話を分析するAIの開発を加速させ、今までよりもはるかに、企業が顧客たちを知ることを助けたいということを世界に広げてくれるだろう。」とBonobo.aiは同社のホームページ上で述べられている。
salesforce.comは1999 年にCEOであるMarc Benioffによって設立され、クラウド上にCRMソフトウェアを開発するアイデアのパイオニアとして登場し、現在では29,000人の社員が世界中で働いており、2018年には105億ドル(約1.1兆円)の総収入を記録した。
そのまばゆい成長を続ける為に、カルフォルニア・サンフランシスコの拠点では、販売・製品開発・マーケティングにおいて多額の投資がなされている。
投資目的としては、スタートアップとそれらの最先端技術を駆使して、クラウドコンピューティング・AI・フィンテックおよび保険技術の開発をすることが挙げられる。
昨年、同社は1億ドル(約100億円)をクラウド技術向上の為にSalesforce Venturesを介して、イスラエルやヨーロッパのスタートアップへの投資に当てたと公表した。
Salesforce.comはCoolaData、OwnBackUp、CheckmarxやCloudLockなどのイスラエルスタートアップに投資を行ない、AIや予測分析の分野で開発を進めていたイスラエルスタートアップである、ImplisitとBlueTailを獲得した。
Philips、最先端AIを用いて、ヘルスケアの可能性を広げる。
Philips—その会社の名前を聞くと、アムステルダムに拠点を置く、電子工学を要した多国籍企業の掃除機やミキサー、電気カミソリやベビーモニターなどの家庭用品を思い浮かべられることが多い。
しかし、Philipsは世界規模のヘルスケア技術の主要なプレーヤーでもあり、部屋の大きさのCTスキャナーから携帯電話駆動の超音波機器まで、世界中の病院で多くの医療機器や診断機器を製造しています。
同社の良質な医療機器やソフトウェアはイスラエルで開発されており、1,085 人の社員をイスラエルの拠点で抱えています。同社の主要な5つのイノベーションセンターとして、アムステルダム、上海、インド、イギリス、そして、イスラエルが挙げられます。Philipsは1948年からイスラエルで事業を始め、イスラエル企業に対しての投資や買収をさかんに行ってきています。
ISRAEL21cは、同社のCSIO(最高戦略、革新責任者)で、5月14日〜16日にイスラエルで行われたMIXiii-BIOMED会議で登壇したJeroen Tas氏にインタビューを行った。
Tas氏は、ヘルスケア技術の分野において、なぜイスラエルが強いのかについて語った。
多くのスタートアップ企業を輩出する国として、高学歴な人口が多いこと、学術研究を行うコミュニティが活気に満ちていること、それらに加えて積極的な政府によるスタートアップの支援があるということがあげられるが、イスラエルにおいて一番の強みは、ハイテク技術と臨床医たちとの密接な繋がりだと考えている。
イスラエルで医療分野の人々はAIやビッグデータなどの最先端技術を取り入れることに前向きな姿勢を示すことが多く、それはとてもユニークであると述べており、また、イスラエルのイノベーション・エコシステムとシリコンバレーとのそれと比べた時、シリコンバレーには最先端技術に強い企業が多く存在しているが、臨床医がその分野で活躍しているのを見つけるのは不可能だろうと説明している。
ハイテク技術と臨床医たちとの密接な繋がりは、イスラエルの医療分野で活躍する起業家にとって大きな役割を果たしており、英語を話すことができ、世界を見据えたビジネスを考えることができるので、イスラエルの為にイノベーションを起こすのではなく、世界の為にイノベーション起こそうという高い意識を保つことができるとも述べている。
また、Tas氏が出会う全てのイスラエルの人々はアメリカの保険や医療のシステムがどのように機能しているかをよく理解していて、それはアメリカを大きな市場としてみているPhilipsにとってはとても重要なことであるとTas氏はさらに言及した。
American Well —Philipsが投資を行った、遠隔医療分野において開発を行う会社はそのR&Dセンターをイスラエルで事業を行なっている。現在American Wellは、Meuhedet 健康管理機関に同社が開発した遠隔医療プラットフオームを導入しようとしている。この取引は、6000万ドル(約65億円)の価値を生み出すと考えられており、イスラエルで同社のソフトウェアが使用される最初の事例になる。
急成長するデジタル医療分野で成功を収める為に重要な3つ目の要素として、Tas氏は患者が求めるものと技術革新とを融合させる重要性を述べた。
現在、どのようにして医療の診断が行われるのかについて考えた時、最初はかかりつけの医者に出向いて診断を受け、次に総合病院へ行くように伝えられます。そこで最終的にどの診療科にかかれば良いかを伝えられ、その診療科に見てもらう日を待つことになります。特定の診療科で見てもらうことができるまでに過程に長い時間を必要とするのだ。
しかし、今後の技術革新では、超音波診断の画像データをかかりつけの医者と共有し、AIがモデルを作成し、ボタン1つでイスラエルの国内外問わずその分野を専門とする医者にデータとモデルが送られ、そこで診断がなされて、診断の1時間後には治療薬を受け取ることができるようになります。
最後にTas氏は、画像診断はイスラエルが誇る医療技術の強みの中の1つの分野であり、Philipsの放射線を用いた情報科学チームはHaifaに拠点を置いていると述べたことに加えて、Philipsはイスラエルのスタートアップが市場を加速することができるプラットフォームを確立していると言及した。